溶解アセチレン C2H2 (Dissolved Acetylene)

特徴

  1. 火炎温度が最も高い

    火炎温度の比較

    メタンプロパンプロピレンエチレンアセチレン
    2780ºC2800ºC2900ºC3000ºC3300ºC

    溶断ガスの性能面で最も重要なことは火炎温度で、溶断ガス中最も火炎温度が高いガスです。

  2. 作業性が良い

    燃焼生成ガス単位当たりの発熱量は4339kcal/m³と溶断ガス中最高であり、また着火温度が305ºCと低いので、点火し易く、又燃焼範囲が広いので火炎の調節がし易く作業し易いガスです。

  3. 酸素の消費量が少ない

    酸素の消費量は溶断ガス中最も少なくプロパンの約1/4です。

用途

  • 酸素ガスと共に溶断・溶接及び圧接用のガスとして使用
  • 化学製品の炭素原料として使用
  • 分析用 (原子吸光分析) ガスとして使用
  • 酸素・アセチレン溶射用ガスとして使用
  • カーボンブラックの原料として使用

製造方法 (ガスの発生及び容器への充填)

アセチレンは、カルシウムカーバイド (CaC2) を水 (H2O) と反応させることより得られます。発生したアセチレンの不純物 (PH3等) を、清浄装置により除去します。次に圧縮機によりアセチレンを圧縮し、油分と水分を除去した後、容器中の多孔質物 (マス) に浸潤した溶剤 (アセトン及びDMF) に加圧溶解させて充填します。

製造方法フロー

主な性質

化学式C2H2
分子量26.04
ガス密度 (0ºC、1atm) 1.171g/l
ガス比重 (0ºC、1atm) (対空気)0.908
沸点 (1atm) −83.8ºC
融点 (1.26atm) −80.55ºC
揮発性
引火点−17.7ºC
発火点305ºC
爆発範囲 (空気中) 2.5〜100 (vol)
燃焼範囲 (空気中) 1.5〜80.5 (vol)

取扱注意事項

  • アセチレンは無色の気体で、純粋なものは無臭ですが、通常は共存する不純物のため特有の臭気があります。
  • 加圧下では不安定で、わずかな刺激により爆発的に水素と炭素に分解爆発を起こす危険性があります。
  • 銅、銀、水銀等と化合して爆発性化合物 (アセチリド) を生成するため、これらの金属には使用制限があります。
  • 純粋なアセチレン自体には毒性がなく、単純窒息性のガスです。

カーバイド工業の歴史

カーバイドは1892年にカナダのウイルソン (Willson) により初めて試作され、1894年にフランスのモワッサン (Moissan) がカーバイドについて詳細な研究を発表している。工業的な製造は、1895年アメリカのノースカロライナ州ウイルソンアルミニウム社で開始された。

国内においては、カーバイドが輸入されたのは日清戦争後で、アセチレンランプとともに輸入され、灯台用として使用された。製造が開始されたのは1902年で、藤山常一氏により仙台市郊外の三居沢に「カーバイド製造所」が設立された。藤山氏は、のちに、電気化学工業株式会社、日本カーバイド工業株式会社、チッソ株式会社の創設に関わり、「カーバイドの父」と呼ばれた。

カーバイド工業は、藤山氏により製造が開始され、発展し、照明用から溶断・溶接用、石灰窒素原料用へと開発が進められ、更に、1930年代に有機合成原料として開発が進み、使用され、1960年代に石油化学工業が台頭するまで日本の化学工業の重要な地位を占めていた。